
【視て学ぶ Vol.01】 BANFF MOUNTAIN FILM FESTIVAL 2019
今回からは海外で行われたコンペティションの中から、気になる作品をまとめつつご紹介したいと思います。初回は「BANFF MOUNTAIN FILM FESTIVAL 2019」。
40年以上の開催を重ねるこのイベントは、登山家やアウトドア愛好者が、登山シーズンとスキーシーズンの狭間に楽しめる年中行事を探し、1976年にロッキー山脈の小さな街バンフ(アルバータ州)で開催されたのが始まりです。1日だけの登山映画際として始まったものが、今では、9日間にわたるバンフでのイベントに加えて、南極大陸を含めた全大陸をめぐるワールドツアーで、世界40ヵ国以上、55万人以上のアウトドアファンに見られています。(バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバル・イン・ジャパン2019) |
▼目次 1. SURFACE サーフェイス 2. HOME ホーム ※Best Film: Exploration and Adventure受賞作 3. ICE CALL アイス・コール 4. SKIER VS. DRONE スキーヤー VS. ドローン
1. SURFACE サーフェイス
「波の内側、独創的な視点に宿る美しさ」
15年間もの間、フランス領ポリネシアでサーフフォトに取り組むフランス出身のフォトグラファー、「Ben Thouard」氏の独創的な視点に関するドキュメンタリー。
上記リンクからご本人のポートフォリオを見られるのですが、驚愕です。当時から既に同地を代表する写真家であったのですが、2019年にはRedbullがスポンサードするフォトエキシビション、Red Bull Illume で総合優勝をかっさらう等、創造的視点と確たる技術が生むアートの力、その破壊力が伺える映像作品。
【世界最大級のフォトエキシビション】Red Bull Illume 2019:全受賞作品
2. HOME ホーム
「ボートと自転車で世界を一周した女性冒険家」
当時、日本でもかなり話題になっていたので記憶に残っている方がいらっしゃるかも。英国人の女性冒険家、Sarah Outenさんが当時挑戦した世界一周への旅、「London2London: Via the World」のドキュメンタリー。
期間にして約5年、人力での移動距離は20,000マイル(32,000キロ)以上、総収録時間は数百時間。日本語字幕での上映は無いものの、トレイラーをだけでも十分、厳しくも魅力的なストーリーが伝わってきます。

とてもハードなワンシーンだけど、カヤックに書かれたトトロがキュート。
3. ICE CALL アイスコール
ウィンタースポーツブランド「ROSSIGNOL」がスポンサード、地元シャモニーをホームとするフリーライダーであるSAM FAVRET氏が、フランス最大の氷河メール・ド・グラスでのライディングにチャレンジするムービー。
同じく、同氏が制作に携わった映像作品「NATURAL MYSTIC」が、昨年度のSkyPixel Aerial Video Contestでグランプリを獲ったのは記憶に新しい所です。
4. SKIER VS. DRONE スキーヤー VS. ドローン
こちらもウィンタースポーツブランド「SALOMON」が送るショートムービー。平昌オリンピック銅メダリスト、アルペンスキーヤーのVictor Muffat-JeandetとアメリカのスポーツチャンネルESPNとも契約を結ぶプロドローンレーサーJotdan Temkinがジャイアントスラロームでガチンコ対決。
いかにも(ドローンが)ダークサイド的なイントロダクションから始まる本作。当時話題を集めていたIBMのチェス専用AI「Deep Blue」や、Googleの囲碁AI「AlphaGo」が注目を集めていたのもこの頃。シンギュラリティという言葉が使われ始めたのもこの頃だったような気がします。
ヒト対ロボット/AI、人間のフィジカルと英知が対峙する。そんな構図が注目されていた世相を背景にした、まさにトレンドを掴んだブランディング動画でした。
そういえばこんなのも有りました。今やったらどうなるんでしょうねえ。
ほか、受賞作まとめ
そのほか、受賞作の一覧はこちらからご覧戴けます。
https://www.banffcentre.ca/banff-mountain-film-competition-2019-winners
ただ今回取り上げさせて頂いたのはその殆どがノミネート作。いずれも粒揃いなので、こちらも是非参照して頂きたいですね。