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コラム

自動車学校とドローンとの「親和性」

文芸評論家・小林秀雄は、第二次大戦時、次のような言葉を述べています。

戦が始まった以上、いつ銃をとらねばならぬかわからぬ、その時が来たら自分は喜んで祖国のために銃をとるだろう、而も、文学は飽く迄も平和の仕事ならば、文学者として銃をとるとは無意味なことである。

新型コロナウイルス禍の状況が日に日に緊迫の度を強め、国から「緊急事態宣言」の全国への範囲拡大が発出されてからというもの、あらゆる世のコメントや言説を見る社会の視線が先鋭的になり、反面、発せられる言葉は空疎で無意味に聞こえるような危惧を感じますが、それだけ事態は深刻で、人々の心から余裕が失われてきていることの証左であるのでしょう。そして、「こんなときにあなたは何を悠長なことを言っているのか?」というようなお叱りを受けそうな気配も感じるような時局ですが…、冒頭の、小林秀雄の言葉の「戦争」というワードを「新型コロナウイルス禍」と読み替えていただければおわかりの通り、「ドローン」も「コラム」も「自動車学校」も「経済」も、元々それらは平和裡の際の営みであり、その「平和・平穏」の前提がなければ成しえないことであることは当然のことです。したがいまして、この稿に対し、かりに「不謹慎のそしり」を覚える向きがあったとしても、基本的には、「平時の健全なビジネス展開のためのもの」という前提で受け取っていただければと思います。

全国の指定自動車教習所で第一号となった、岩手ドローンスクール(当社運営:岩手県奥州市)が開校したのは、2017年4月のことですが、その立ち上げにあたって会社として準備を本格的に開始したのは、その二年前のことで、今でこそ、「自動車学校とドローンスクールとの親和性」や「空の交通概念」という観点は違和感なく社会に受け取られるようになりましたが、私ども“第一陣”が当時、歩を進めていった際は、何も素地のない状況でしたので、随分、“回り道”や“無駄な勉強料”のロスも味わいました。 そんな試行錯誤の“雌伏期”だった開校前の期間、私が心に強く意識していた「ドローン事業進出の要件」とは、「一から新しい何かを丸々作ってしまうような、全くの未知の世界の創造というようなものではなく、社の持つ地理的、物理的環境(資源)を活かしたうえで、可能性のあるものであるかどうか」ということでした。自分達の能力、経験というものをいま一度見直し、「何ができて、何ができないか。何がさらに必要で、何が活かせるのか」。そんなことを日々考えていたように思います。

そのなかで導き出された、自動車学校の立場から挙げられる、ドローン(スクール)との『親和性』とは、

⑴ 実技用のコースを持ち、学科指導を行える教室を有していること
⑵ 職員が(広義の)教育事業に通暁しており「教えること」に習熟していること
⑶ 履修管理や生徒管理ほか教育業特有のシステムを元々持っていること
⑷「交通」という概念理解を「空の交通」に援用できうること

等々ということになるでしょうか。
そして、それらの資源は、「人口減少=労働力不足」という地方特有の負の状況が欲する“新しい起死回生策への渇望”とあいまって、さらには地方であるがゆえ航空法上規制がかかるDID(人口集中)地区から除外されることが、円滑な実技講習を行いうる環境につながるという利点もあり、いよいよ動機は確かなものになっていったのです。

半官半民的性格を持つ自動車学校という業態は、サービスの提供というビジネス性も運営上の重要な観点であるため、「採算性」も無視できません。それは、「利益の追求」という使命を有しているということであり、「経費は最小限に」、「ない袖は振れない」というような観点、あるいは「己を知る(足元を見る)」という古い箴言のような、“月並み”な教訓の重要性を、新しい事業開始前のその時期、私は改めて強く知ったのです。