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「ドローン前提社会」実現のための総合性

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 前回のコラム「『操縦士免許制度』に関する私的論点整理」については、その後、個人的に、相当数の好意的なご意見・反応を頂戴し、あらためて、当該制度改革に向ける社会の関心の高さ、期待を感じたところですが、今回のコラムでは、その中でも、「制度施行の際に国が重要な審査条件を委託するとみられる民間機関の要件」を中心に、それに付随する問題を含め、考えてみたいと思います。
 聞けば、現在、国内には、およそ750以上の民間ドローン操縦士スクール(管理団体問わず)が存在しているということで、その、全国に展開された「ドローン講習機関」が漏れなく十全に機能し、質・量ともにそのスクール能力の発揮期待が前提となって、今般の制度設計がなされていることはほぼ疑いのないものと思われますが、一説によれば、いざ、ここからの本格的な実態調査やスクール能力の検証がなされた後の実数は、設計者の期待する規模のほぼ半数以下になると見られ、真の意味での現状における急務事項とは、実は「国の前提とする民間スクール数の更なる拡大化」であるのかもしれません。
 そのうえ、今回の制度改革案が念頭化している、「ライセンス所持を必須・前提とする(リスク)カテゴリーⅡ~Ⅲ」の難関飛行事例として提示された飛行態様:「有人地帯の目視外飛行」に関する審査を委託する機関となれば、国が見る目線はそれなりに厳格なものになるであろうことは想像に難くなく、少なくとも現状のスクールカリキュラムにおいて、「夜間飛行/目視外飛行」を講習内容として前提的に設定し、かつ、その講習実績数が相当数あることが求められることは必定であろうかと思われます。さらには、指導する講師陣の技量・知識・経験(運行管理・飛行計画含む)等の「総合力」が厳密に問われてくることは確実であり、ドローンそのものが“日進月歩”で進化し続けている歩調とともに、その指導を行う講師の実力もまた、しっかりと進歩していく必要が、今まで以上に求められていくと思われます(既存校に「一日の長」があるのは間違いありませんが、“あぐらをかく”ことはドローンの世界では許されない)。

 今回のコロナ禍は、実に多くの甚大な損失を人類にもたらし続けておりますが、特にも経済政策の面で言えば、あまりに厄介で難問すぎる、次の二つの課題を私たちの目の前に突きつけました。

  1. ❶ 過去最大規模の経済対策実施による各国経済の債務超過(プライマリーバランスの悪化)
  2. ❷ グローバル経済を前提とした「サプライチェーン」の停滞に伴う貿易の見直し


 ドローン事業に携わる企業(スクール含む)にとって、上記二つの課題の内、直接的に関係するのは❷の「サプライチェーン」に関する問題であると思われますが、たとえば…、
「10万点の部品を全世界5500か所から調達している米GM社の商品生産不能」
「米iPhoneの商品大半は台湾・ホンハイ精密工場が製造を請け負い、その部品は台湾、日本、中国ほか40か国以上が関与」 といった具合に、今や、機械製品のほぼ全てのモノが“世界分業”で行われている現状を考えるとき、

「ドローン巡る経済安保 日本、中国製を全面排除せず 米と温度差」
(4月3日付日本経済新聞電子版)

「米、ファーウェイ制裁強化 中国、米企業に報復も」
(5月15日付日本経済新聞)

といったニュースは、国内シェア90%以上を占める中国・DJI社ドローンに負うところが大きい、私たち国内ドローン関係事業者の心を一喜一憂させ、神経をざわつかせ、不安を煽り立てます。
 昨年2019年、その種の国際的な貿易問題でドローンの国内流通が全面的に滞り、“痛い目”にあったドローンスクール事業者にとって、今回の「免許制導入等の制度改革」論議と同程度に重要な関心事は、実は、「ドローンに関するサプライチェーン」に関する観点であり、それらを一体的に、総体として論議していくことは、我々だけでなく、今般の国の『society5.0』から派生した、様々な『第四次産業革命に伴う方針』にも本質的に合致しうる方向であると思われるのですが、いかがでしょうか。
 「急がば回れ」ではありませんが、「早期のドローン前提社会確立」のために求められる姿勢とは、そんな各立場それぞれに求められる(分野特化に偏らない)『総合性』であるような気が、私にはしています。