
CES2020からわかる今年の水中ドローン業界の動向~後編
後編の今回はCES2020に出展していた水中ドローンメーカーをご紹介します。前編をご覧になっていない方は、是非前編をご覧になっててみてください。
前編でご紹介しましたが、水中ドローンメーカーのほとんどがTechEast(LVCC)South Hallの1階にあるドローンエリアに出展しています。(2019年も同様)
そのドローンエリアの一等地に一番大きくブース出展しているので空中ドローンの世界シェア7割を担うDJI(本社:中国深セン)。ここ5年はドローンエリアをけん引しています。

このドローンエリアを中心に水中ドローンメーカー7社に訪問し取材していろいろお話を聞いてきたのでご紹介します。
巨大プールで来場者の興味を惹きつける!
まず最初にご紹介するのは、DJI社の隣にブースを構えていたROBOSEA社。入口に大きなプールを置いて来場者の注目を惹きつけていました。(昨年も同じ感じでした。)
2015年に北京で設立された大学発のベンチャー企業でエンジニアが100名いる研究・開発に力を入れている企業です。



この赤い機体は20キロで150mまでで内臓バッテリー型。ミドルクラスで300mで有線給電型。その上のクラスは、1000mで150キロ、有線給電型。カメラも2つあるとのこと。これらは基本的にはオーダーメイドによるカスタマイズ製品とのことです。
教育向けの水中ドローンも開発中 開発キット

空中・水中ドローンを開発する唯一の企業
2社目は、日本でもおなじみのPowerVision。本社が北京にあり従業員も300名いるとのこと。2017年にPowerRayという水中ドローンで日本へ水中ドローンを普及させましたが、実はこの企業は、AI、ロボティクスカンパニーでもあります。



圧倒的なお洒落なブースデザイン!
3社目は、中国天津に本社を構えるSUBLUE社。天津は中国東北部にある大きな港湾都市です。水中スクーター、水中ドローン190の特許を持っており、従業員も400人と大きな企業です。日本のいくつかの企業もSUBLUE社のパートナーになっています。



JOHNAN株式会社が国内総代理店。JOHNAN株式会社、株式会社スカイシーカー、株式会社tiwakiの3社はこのWHITESHARKを日本仕様に変えてMOGOOLという製品で日本で販売しています。
CES2020では新機種の展示もしていました。以下の3枚プロペラの製品は4000ドルで無線通信できる水中ドローンです。日本での販売予定は未定とのことです。
無線の水中ドローンも展示 水中スクーターの新製品も展示
低価格ながらバッテリー交換式。日本未発売。
4社目は中国深センで2016年に創業したNAVATICS社。水中ドローン事業では25人程度の従業員がかかわっているとのことですが、全体では100名を超える従業員がいるとのこと。お掃除ロボットやスクーターなど開発から製造までしている企業です。



バッテリー交換可能な機体 お掃除ロボットも展示
日本でもおなじみの黄色い箱型の機体
5社目は2014年に深センで創業されたvxfly社。日本でもCCROVという水中ドローンでおなじみのメーカーです。従業員約20名の学生ベンチャー企業です。
水中ドローン以外にも水中スクーター、電動スクーターなど開発・製造しています。



2019年は日本で最も有名になったグラディウスミニ
6社目はCHASING社。私が代表を務めるスペースワンのパートナー企業でもあります。2016年に深センで創業し、数年で従業員数も150名ほどに成長著しい企業です。自社工場で製造しています。



2019年9月に発表されたCHASING DORYはアメリカのキックスターターで630人の支援者より240,736ドルを集めました。そして、キックスターターより表彰されました。
私たちも4月にCAMPFIREでクラウドファンディングに挑戦し67人から2522200円から支援いただきました。
https://camp-fire.jp/projects/view/243440
>>DORYの購入はこちら↓
https://shop.airocean.jp/collections/chasing/products/dory-1

機体の技術革新が目まぐるしいメーカー
7社目は、QYSEA社。ドローンエリアではなくドローンエリアの近くのVRエリアにブースを構えていました。2016年に深センで創業し、従業員数も25名の成長著しい企業です。CES2020には本社から副社長含め2名と米国の営業マンの3名でブースを切り盛りしていました。



W6というこの機体は、重量15kgで水深300m対応の産業用向けの水中ドローン。Image sonar、grabber ARM、distance lock sonar、lase scalerなど多くのセンサーは統合されるとのことです。CES2020のときは4月には発売開始とのことでしたが、現時点ではコロナの影響で遅れており、2020年秋ぐらいになるでしょう。
7社の水中ドローンメーカーを紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
水深100mまでの水中ドローンメーカーは中国メーカーがしのぎを削っております。CES2020でもメーカーごとに様々な工夫を凝らしてブースを出していました。

せっかくなのでCES2020に出展していた水中ドローンメーカー7社のブースデザインについて個人的な見解でのランキングを発表します!

ドローンエリアでほかのブースを圧倒するデザインだったのが、SUBLUEとパワービジョン。大水槽の設置という観点でSUBLUEに軍配。インパクトはどのブースよりも強烈でした。2位のPowerVision社も全天候型を意識して雨を降らせて新製品の空中ドローンを飛ばしたり、モデルを使って新製品をPRしていてブース的にはこの2社が水中ドローン以外のドローンエリアでは群を抜いていました。
今回のCES2020で水中ドローンエリアを取材・訪問しましたまとめとしては、
中国メーカーによる群雄割拠な市場
- 発展途上
一年ごとの変化が目まぐるしいです。2021年はさらなる高性能の機体になる可能性があります。 - 中国勢の勢い
空中ドローンも含め中国が席巻していますが、水深100mクラスは中国メーカーが市場を独占する可能性もあります。中国企業の勢いをきっかけに他国の水中ドローン産業も盛り上がることに期待したいです。 - 拡張性
カメラを通して撮影・見るから、作業する・データ取得するに変わりつつあります。特に動きに関しては制限がないことがスタンダードになりつつあります。 - コストダウン
数百万、数千万していた機体も技術・テクノロジーの進化でコストダウンが目まぐるしいです。さらに需要が増えることでコストダウンも進んでいくことでしょう。
最後になりますが、CES2021からは自動車メーカーはLVCCに新しく建設中で年末に完成されるWESTホールに移動されるとのことです。 そして、ドローンエリアも自動車メーカーが入るモビリティエリアの隣に位置どられる予定とのことです。 ドローンエリアの出展場所取りのマップを見ましたが来年のドローンエリアにも水中ドローンは多く出展されそうです。 今後、テクノロジーを通じて水中ドローン×〇〇〇×〇〇〇となっていくことでしょう。

来年のCES2021にも訪問し、再度水中ドローンメーカー全社取材、またほかに面白いテクノロジーの取材をしてきたいと思います。
もし、CES2021に行かれる方は是非、現地でお会いしましょう!
番外編
せっかくなので番外編として、私がCES2020のスタートアップエリアで見つけた水中ビジネスのプロダクトをご紹介します。

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