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コラム

「自動車学校→ドローン時代」その内的課題

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 自動車学校業界と「ドローン(スクール)」との“親和性”については、以前、触れておりますが、今回はその逆に、両者の“非親和的”点について考えてみたいと思います。

 2016年、ドローンスクール開校の準備に追われていた当社は、それまで参加したこともなかった種類のセミナーや勉強会、他業種の商慣習に数多く触れることとなりましたが、そのときに味わわされた意識の違い(覚醒感)は今もなお、教訓として胸に留めており、その後のビジネスの考え方に大きな影響を及ぼし続けております。いわく…。

日々、新しい情報がもたらされる状況に、柔軟かつスピーディーに対応する機動性を持ち、けっして一地点に立ち止まらず、常に今日よりは明日を見て、神経を研ぎ澄まし、そして何らかの確信に出くわしたなら、他の同調者の到着を待つまでもなく、単身で踏み出してみる

 一面で公的機関の表情を持ち、もう一面でサービス業の表情を持つ、“半官半民”的業種として、60年もの間、この国の産業の一翼を担ってきた自動車学校業界は、現在、人口減少時代を中心とした世相に直面し、様々な“制度疲労”がもたらす何らかの態度修正を求められていることは事実であり…、今後、業界の向かう潮流は大別して、

  1. ① 「多くの自動車教習車種を取り扱い、自動車教習業こそを業として自動車学校自体の拡大化を図ろうとする方向性」
  2. ② 「自動車学校業を中心と置きながらも様々な異業種参入を図りながら多角化した事業所全体で拡大化を図ろうとする方向性」


に収斂(しゅうれん)されていく感がありますが、そのような経営指針の方向性判断が、ことさらこの時期に求められていることには時代的・環境的な外的要因が作用していることはもちろんのこと、元々潜在的に内包していた、以下の二つの業界体質が要因となって「風通し」を含め問題が露呈してきていることがあるようにも思います。

  1. ❶ 全国1250校の9割超の自動車学校が該当するとみられる、「世襲同族経営(※かくいう私もその亜種)」が醸成してきた一貫的(保守・排他的)経営思想
  2. ❷ 省庁の中でもとりわけ権威性・重厚性が突出し、形式を重んじる警察庁等を監督官庁として持ち、その出身者を業界団体の執行者に据えることで享受してきた安定性


 上記二つの観点は、モータリゼーション文化の隆盛とともに、業界全体が潤っていたときには顕在化しなかったものの、時代が変わり、風向きが悪くなってくると、その「(事業所の)万世一系」性や「(業界団体と会員事業所の)御恩と奉公」性が起因し、ほころびが生じ、他の業種の常識との間に齟齬(そご)や遅れが目立ち始めてきたというのが今の実態であろうかと思います。
 (三、四年前の私もそうでしたが)自動車学校業界の中でもまだドローンスクールに参入していない学校には根強く、「ドローン操縦士制度が国の免許制になるのか、任意の民間ライセンスであるのか」という観点についてのみ関心を払い、「もし国の免許制度になるのなら、長年行ってきた資格ビジネスの一環として参入を検討する」という意向が多数あるようですが、実はそのことは、元々のドローン業界に住んでいた方々からすると、さほどの関心事ではなくて、むしろその方々にとっては、免許制施行によって顕在化すると見られる「(エアモビリティ時代の基礎となる)本物の技量・知識・経験を持った、(単なる免許者ではない)実力あるドローン操縦士へのニーズ、そしてその進化」にこそ意識が向かっている感があります。

 2016年当時に、「自動車学校業界以外の世界に触れたことで知った意識の違い(覚醒感)」は、いまあらためてその中身を吟味してみると、実は何も驚くようなものではなく、これからの時代を念頭におけば、むしろ、きわめて妥当で必須の態度であるように見えますが、当時の私にはそうは思えず、自動車学校業界が従来、その安定性・不動性の武器にしてきた「規矩(きく)」や「体制の確保」という観点への強いこだわりが瞳に覆いをかけ、『イノベーションよりは協調(天才<民主主義)』を求め、「資格ビジネス」への展望にこそ期待を寄せていました。しかし、これからの時代が求める本質的要請とはおそらく、そんな安住地点に留まり続けるような怠惰なものではなく、その先の社会実現(あるいは機動性・情報性に立脚したイノベーションへの貢献)であり、そのことこそが実は今般の「免許制論議」の本質的・根源的意義であると思っています。