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コラム

「“つかみ”もOK!」

コラム

 日本人にとっての国民薬とも言える『正露丸(セイロガン)』は、多くの人が一度はお世話になったことのある胃腸薬かと思いますが、この商品名は二度の最高裁判決で《普通名称》として確定されているそうで、「ラッパのマークの~」大幸薬品のそれは(フリガナのない)『正露丸』としてのみの登録商標(固有名詞)であり、フリガナが付いたものはどの製薬会社でも自由に使える名称なのだそうです。また、これとは逆に、車両系建設機械の一つであり、俗にバックホウあるいは油圧ショベルと呼ばれる「ユンボ」は、その歴史的経緯や普及度合いからも一般名詞と思われがちですが、日本では一私企業の登録商標らしく、厳密に言えば、よく新聞等で見る「ユンボオペレーター募集」というような広告表示は正確性を欠いた、権利侵害要素があるものと言えるのかもしれません。

 当社では、その油圧ショベル(ここでは便宜上、以下『ユンボ』と表記)を使った都道府県労働局長登録技能講習(いわゆる作業資格講習)事業をドローンスクール事業や農業等と併せ、自動車学校業に加えて運営しておりますが、そのユンボを使った「車両系建設機械技能講習」については、「整地等」と「解体用」との二つを実施しておりまして、2011年の東日本大震災の発生以降、復興需要等と相まって、受講者数が増える傾向にあります。そのため、講習を設定する当社としては、年間スケジュールにおいて、その双方の講習受講を促すべく、二つの講習予定はなるべく近接した日程で設定し、まとまった期間での通学を計画する受講者の便宜を図ろうと考えているわけですが、当社では、ユンボを使った一つの講習日程を終え、翌日からまた別のユンボ講習日程を予定する際、一つの重要な作業過程を経なければなりません。
 それは、「ユンボのアーム部分の先端に装着するアタッチメント交換」なのですが、「整地等講習」で使用した「ショベルアタッチメント」は、「解体用講習」では「つかみ機・ピックアタッチメント」に交換し、アーム先端部を作業用途に応じた形状に整えておく必要があります。つまり、本体となる建設用車両はそのままで、作業行動をする可動部は“入れ替え”使用によって、1台で二役を担わせているわけですが、昨今、ドローンの世界でも、従来の「見る、撮る」機能に加えて、アタッチメントの交換によりドローン機自体が仕事作業まで行ってしまう、というトレンドが現れ始めたとのことで、この分野の進歩展開に今さらながらの驚嘆の念を感じております。  本ウェブマガジンでも取り上げられておりましたが……、

  • 水中ドローン『CHASING M2』(グリッパー、GoPro等の多数のアタッチメント装着可能)[深圳・CHASING社]
  • 水中ドローン向け多関節アーム『Reachシリーズ』(ロープカッターなど数種類のツールアタッチメント、マスターアーム)[オーストラリア・Blueprint Lab社]
  • 農薬散布ドローン(DJI MG-1)対応『散水ホースアタッチメントシステム』(地上からの圧水ホース装着により既定タンク容量の10倍の散布が1フライトで  可能)[長野・グローバルリング社]

など、従来のドローン本体自体では不足があった機能に、用途に応じたアタッチメントを装着することで、ロボット機能を加味し、地上で従来行っていた実際的作業が、海中や上空で可能になっていく流れが次々に構想・実用化され始めました。
 おそらく、この流れは研究開発の分野や技術面においては、実は、これまでの蓄積からすれば、さほどの高い跳躍ではなかったのかもしれません。それほどにここ10年の当該分野における研究開発は目覚ましく、素地が整ってきており、開発者にとっては、難しいものではなかったものとお見受けしますが、一方で、社会学的あるいは文明論的な観点からすれば、この跳躍は驚くべき“高み”に人々を導いてくれる大きな一歩のような気が私にはしています。なぜならそれは、ヒトの生活圏ならぬ産業圏(作業圏)の範囲を、実務的な面で地上だけでなく海中や上空にまで展開させてくれる第一歩であるに違いないからです。

 「見る・撮る」から「つかむ・作業する」へ。

ここまで来てしまうと、もはや、元々のドローンの価値に“マユツバもの”とのイメージを持っていた方々にとっても、その存在意義を否定するわけにいかなくなってくるのは必定であり、我々ドローン産業に関わる者たちにとっては、そのトレンドづくり戦略という共通命題において、社会受容性を醸成するうえでの『つかみはOK!』という意識を持てる段階になってきたようにも感じているのです。

(※今回のコラムでは冒頭段落の網掛け部分で、文章の“つかみ”を準備させて頂きました!)